13.気候変動に具体的な対策を 15.陸の豊かさも守ろう

大規模災害から命と森を守るEco-DRR:「生物レガシー」を活かしたエコロジカルな森林再生

近年、激甚化する地震や豪雨により大規模な山地崩壊が多発し、人命やインフラ、そして沿岸の生態系にまで深刻な影響を与えています。私たちは、航空機やドローンレーザ測量による3次元点群データを用いて、崩壊地の微地形解析と森林が本来持つ「斜面崩壊防止機能」を定量的に評価・予測する新技術の開発を行っています。
さらに、資源循環とEco-DRRの観点から、被災地に大量に発生した倒木を単なる廃棄物として扱うのではなく、治山工法や土砂流出抑制に積極的に活用する「崩壊地のエコロジカルな再生手法」の開発に取り組んでいます。北海道胆振東部地震や能登半島地震の調査から、崩壊地に残存した倒木や表層土ブロック(植生盤)といった「生物レガシー」が、過酷な環境下での植生回復の「核」となり、森林再生を強力に後押しすることを発見しました。これらの知見は、崩壊危険地の事前予測に基づくEco-DRRの推進や、レジリエンスのある里山景観のデザイン、そして地域住民参加型の効果的な里山再生プロジェクトの展開に直結するものです。最新のセンシング技術と自然の回復力を融合させ、災害に強く持続可能な未来の森づくりを提案します。

研究業績

  1. Thapa P.S., Daimaru H., Yanai S. (2024):Analyzing vegetation recovery and erosion status after a large Landslide at Mt. Hakusan, Central Japan. Ecological Engineering 198:107144-107144. https://doi.org/10.1016/j.ecoleng.2023.107144
  2. Thapa, P.S., Daimaru, H., Ichion, E. & Yanai, S. (2024) Impacts of sediment transported downstream from the 2015 deep-seated landslide in Mt. Hakusan, Japan. Earth Surface Processes and Landforms, 49(4), 1273–1288. https://doi.org/10.1002/esp.5764
  3.  柳井,清治; 鈴木,愛海; 小川,弘司(2026) 百万貫の岩の起源地における地形・巨岩配列と地史的背景. 石川県立大学研究紀要, 9, 1-9.

提供できるシーズまたは支援できる技術分野

  • 航空レーザ測量(ALS)データを活用した、広域的で高精度な斜面崩壊リスクの予測・評価技術
  • 倒木などの「生物レガシー」を廃棄せず治山工法に活用する、崩壊地のエコロジカルな再生手法の開発と提案
  •  IoTセンサーやドローン空撮を用いた、崩壊地における微細な土砂移動(霜柱匍行・リル侵食等)のモニタリング技術
  • 在来種のドングリ採集からポット苗づくりまで、地域住民や子ども参加型の自然林再生プログラムの企画・運営と、レジリエンスのある里山景観のデザイン

社会的成果または実用化された内容、商品、特許など

  • 石川県輪島市・珠洲市等の能登半島地震被災地における、ドローン調査や市民参加型の「里山再生プロジェクト」の実践
  • 北海道胆振東部地域の荒廃流域における、植生盤の保全効果の実証と長期的な土砂流出メカニズムの解明
  • 白山山麓の大規模地すべり跡地における、植生回復と侵食抑制に関するエコロジカルな復元アプローチの分析

産学・地域貢献に関する経験・実例および連携した企業業種

  • 能登半島地震からの里山再生プロジェクト(地域住民・学生・行政職員との協働による苗木づくり等の実施)
  • 自治体(石川県)や大学や研究機関(林業試験場など)、林野庁近畿中国森林管理局と連携した災害復旧・森林防災に関する共同研究
  • 能登GIAHS生物多様性ワーキンググループ等の活動を通じた地域貢献

マッチングしたい分野・業種

建設・土木コンサルタント(防災・減災対策、ハザードマップ作成)、林業・造園業(緑化・エコロジカルな治山工法)、自治体(防災計画、環境保全、景観デザイン)、環境教育や復興支援を行うNPO法人・地域団体

研究・社会的成果に関する広報や報道

被災景勝地の復興へ奮闘 石川・能登の千枚田、見附島(日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD12CIF0S5A211C2000000/

ヤナイ セイジ
柳井 清治
特任教授・コーディネータ
研究分野
河川生態学、森林学、砂防学
略歴
北海道大学大学院農学研究科卒 農学博士。北海道立林業試験場科長、北海道工業大学工学部教授を経て現職。
教員からの
メッセージ
豊かだった能登の里山里海を再び取り戻すために、一緒にタネを取り、森を育んでいきましょう。