チェコの高等教育、社会主義から資本主義への転換と教育をテーマとして、社会主義期の大学、イデオロギー教育、1989年市民革命後の大学改革、資本主義社会における私立大学の意義、および女性の雇用を推進した社会主義施策が現在に及ぼした功罪について研究している。とりわけ現在は、チェコの大学におけるジェンダーの問題、女性研究者のライフコース、そして中等教育段階の進路選択に及ぼすジェンダーの影響に関心がある。社会主義期の女性雇用施策は、女性を家庭と結び付けるイメージを解体する自発的な意識改革を伴わなかったため長期的成果を生み出さず、現在のチェコ社会に保守的なジェンダーステレオタイプを根付かせることになった。
さらに、男性にとってジェンダーの壁が存在するという視点が、これまでのジェンダー研究に欠如していたことを問題視している。従来男性が占めていた分野が「主」、女性が占めていた分野が「従」であるという考えに基づき、主領域における女性のグラス・シーリングのみが問題視されてきたからである。各職種の雇用需要が変わらないのであれば、女性の領域・職種間フローを促進する一要因は、男性の領域・職種間フローの促進に他ならない。男性の側からジェンダー・ギャップを捉えダイバーシティ概念を構築する必要があると考えている。ゆえに、女性および男性両者に「ジェンダーの壁」が存在することを念頭におき、男子生徒の進路選択に及ぼすジェンダー要因に特化した研究にも着手している。
研究業績
- 石倉瑞恵.2023.チェコの中等教育においてジェンダーが進路選択に与える影響.石川県立大学研究紀要(6). 69-78.
- 石倉瑞恵.2022.社会主義チェコスロバキアにおける女性像の変容過程.石川県立大学研究紀要(5). 95-103.
- 石倉瑞恵.2015.チェコ高等教育の多元化改革 ―地域・人材を担う私立大学のインパクトを中心として―.日本比較教育学会.比較教育学研究(51).63-84.
提供できるシーズまたは支援できる技術分野
- チェコ文化(大学文化、児童文化、音楽、芸術・・・・)、東欧文化に関する知見、文化多様性への価値観育成、多文化教育
- 女性のライフコースに関する話題提供、男性をとりまくジェンダーバイアスへの気づきの機会
マッチングしたい分野・業種
- 多文化教育・国際理解教育
- 女性と男性のジェンダーステレオタイプ解体事業
イシクラ ミズエ
石倉 瑞恵
准教授
研究分野
比較国際教育学
略歴
名古屋大学 教育学部 卒業
名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士前期課程修了
修士(教育学)、博士後期課程 単位取得満期退学
チェコ共和国カレル大学 哲学部 留学
名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士前期課程修了
修士(教育学)、博士後期課程 単位取得満期退学
チェコ共和国カレル大学 哲学部 留学
教員からの
メッセージ
メッセージ
学問とは現実社会で役立つか否かで測るものにあらず。
時を経て真価を発揮するのが学問なり。
https://www.ishikawa-pu.ac.jp/staff/staffname/ishikura-mizue/ 時を経て真価を発揮するのが学問なり。