


主に電波望遠鏡や可視・赤外線望遠鏡で得られたデータを用いて、天の川銀河の3次元構造や運動、系外銀河における星間ガスの物理的性質、銀河の大局的磁場構造、銀河団環境が銀河に与える環境効果等について研究しています。特に最近は銀河の大局的磁場構造に興味があり、その起源を解明すべく研究に取り組んでいます。そのために、まず必要なのが銀河の大局的磁場構造を観測的に決定することですが、研究者によって様々な解釈がなされている状況でした。そこで、私たちは新たに磁場ベクトルのマップを描き出す手法を考案し発表してきました。これにより磁場構造の方位角方向のモードを決定できるようになり、近年の研究手法に一石を投じることができました。近年、銀河の磁場構造を軸対称と解釈する傾向がありましたが、改めて再考する必要性を示しました。また、観測に必要な装置の開発にも取り組んでいます。近年は、FPGA(Field ProgrammableGate Array)ボードを用いたデジタル回路の開発に力を入れています。特に2019年には、単一鏡観測で用いるデジタル分光計用に、「前積分型」という新たな技術を考案し、特許を取得しました。現在、この特許に基づいて周波数分解能の極めて高いデジタル分光計開発を進めています。また、相互相関分光計などの開発にも取り組んでいます。
研究業績
- “Three-dimensional distribution of the ISM in the Milky Way galaxy. III. The total neutralgas disk”, Nakanishi, H. & Sofue, Y. 2015, PASJ, 68, 5
- “Pre-integration Digital Spectrometer”, Nakanishi, H. etal. 2022, Asia-Pacific MicrowaveConference (APMC), Yokohama, Japan, 2022, pp. 590-592
- “移動式プラネタリウムを利用した日周運動・年周運動に関する試行授業―自作プラネタリウムを中学校に持ち込んで―”,中西裕之ほか. 2024,地学教育, 76, 81
提供できるシーズまたは支援できる技術分野
- 天の川銀河および系外銀河に関する観測的研究の成果にもとづいた理科教材(特に地学分野)の提供、新たな開発
- センチ波帯単一鏡観測、電波干渉計観測、偏波観測に関する技術的助言
- 軽量かつ高周波数分解能を達成するデジタル分光計の開発
- FPGAを用いたデジタル信号処理に関する技術開発についての助言
社会的成果または実用化された内容、商品、特許など
- 特開2021-005118離散信号処理装置、デジタル分光計及び離散信号処理方法(中西裕之,中原瑳衣子)
- 特願2024-98420演算装置、電波干渉計及び演算方法(中西裕之)
産学・地域貢献に関する経験・実例および連携した企業業種
- 科学館における子ども向け理科工作の企画
- 電子機器設計開発・製造メーカーとの電波望遠鏡用装置に関する技術的協議
マッチングしたい分野・業種
- 教育分野
- 電子機器設計開発・製造メーカー
ナカニシ ヒロユキ
中西 裕之
教授
研究分野
電波天文学、銀河天文学、デジタル信号処理、理科教育
略歴
2005年3月 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)
2005年4月 国立天文台野辺山宇宙電波観測所研究員
2007年6月 豪州 CSIRO/Australia Telescope National Facility 研究員
2007年11月 鹿児島大学理学部准教授
2025年4月 石川県立大学教養教育センター教授
2005年4月 国立天文台野辺山宇宙電波観測所研究員
2007年6月 豪州 CSIRO/Australia Telescope National Facility 研究員
2007年11月 鹿児島大学理学部准教授
2025年4月 石川県立大学教養教育センター教授
教員からの
メッセージ
メッセージ
銀河の観測的研究を中心に、電波天文学のための装置開発、関連する理科教育について、研究に取り組んでいます。
https://researchmap.jp/H.Nakanishi