2.飢餓をゼロに 3.すべての人に健康と福祉を 7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに 11.住み続けられるまちづくりを

⾃⽴運転可能なルーメンハイブリッド型メタン発酵システムによる植物バイオマスからのエネルギー⽣産
〜導⼊先の廃棄物処理費ならびに光熱費削減を通した循環型社会の実現〜

わたしは、東⽇本⼤震災で被災し、道路が⼨断され、⽣活物資すら届かないという状況を経験しました。当時,⾷品⼯場廃棄物からメタン(=都市ガス)・電気を⽣み出すメタン発酵の研究をしていましたが、発酵に必要な廃棄物は得られず、発酵施設を稼働することはできませんでした。⼀⽅、雑草・落ち葉・農作物残さは、たとえ震災直後であろうと、⾝の回りに存在していることに気がつき、その時の悔しさから、今後も起こりうる⾃然災害に向け、いつでもどこにでも存在する植物系バイオマス(=雑草、落ち葉、古紙、農作物残さなど)からのメタン発酵技術の研究をおこなってきました。しかし、これら植物系バイオマスは、既存のメタン発酵装置で⽤いられる微⽣物では発酵が困難でした。そこで、⽜の胃(=ルーメン)に棲む微⽣物に着⽬し、これを活⽤することで、雑草や農作物残さのメタン発酵・発電を可能としました。社会実装に向け,環境微⽣物研究所(株)を設⽴し、⽇本・世界各地への普及を⽬ざしています。

研究業績

Baba, Y., Matsuki, Y., Takizawa, S., Suyama, Y., Tada, C., Fukuda, Y., Saito, M., Nakai, Y. Pretreatment of lignocellulosic biomass with cattle rumen fluid for methane production: fate of added rumen microbes and indigenous microbes of methane seed sludge. Microbes Environ.34(4), 421-428. (2019)
https://doi.org/10.1264/jsme2.ME19113

Baba, Y., Tada, C., Fukuda, Y., Nakai, Y. Improvement of methane production from waste paper by pretreatment with rumen fluid. Bioresource Technology 128. 94-99. (2013)
https://doi.org/10.1016/j.biortech.2012.09.077

北陸朝日放送(2021.11.11放送)

「雑草で発電?驚きの研究に秘められた思い」

提供できるシーズまたは⽀援できる技術分野

  • 農作物残さ(野菜クズ、⾮可⾷部)、雑草、お弁当廃棄物などをガスと電気と肥料に変換する技術。
  • 微⽣物群集の解析技術。

社会的成果または実⽤化された内容、商品、特許など

メタン発酵槽とガスホルダー

(左図)石川県内のスーパーマーケットに設置された牛ルーメン微生物を活用した新規メタン発酵システム

NEDO
「官民による若手研究者発掘支援事業(スタートアップ課題解決支援型)」

経産省
「中小企業地域経済政策推進事業費補助金(地域DX促進環境整備事業)地域デジタルイノベーション実証型」

産学・地域貢献に関する経験・実例および連携した企業業種

メタン発酵後に余る発酵液を肥料として利⽤して、コシヒカリやビールホップを栽培しています。⾦澤ブルワリーの協⼒を得て、「防災ビール」として販売されています。(災害時にメタン発酵によりエネルギーを地域で⾃給する防災研究から⽣まれたビールのため、防災ビールと命名しました)

大学農場でホップ栽培
防災ビール

マッチングしたい分野・業種

⼤学発ベンチャー「環境微⽣物研究所株式会社」を設⽴しました。下図のように、国内もしくは海外に新規メタン発酵システムを販売・保守をしていただけるパートナー企業を募集しています。

ババ ヤスノリ
馬場 保徳
講師
研究分野
メタン発酵、⽜ルーメン微⽣物
略歴
キユーピー株式会社研究所研究員
⽇本学術振興会特別研究員(DC2採⽤およびPD採⽤)を経て、
⽯川県⽴⼤学⽣物資源⼯学研究所講師(現職)
教員からの
メッセージ
⽇本や途上国へ社会実装する仲間を募集しています。
https://www.ishikawa-pu.ac.jp/staff/staffname/baba-yasunori/