8.働きがいも経済成長も 9.産業と技術革新の基盤を作ろう

食品の原料・製法・産地の判別技術による食品ブランド保護への取り組み

食品はさまざまな有機化合物の混合物です。NMR(核磁気共鳴)は分光測定法の一種で、有機化合物の構造解析や定量分析に有用な手法です。食品のNMRスペクトルを測定すると、試料に含まれる有機化合物の種類と量を迅速に分析することができます。このデータを網羅的に収集し統計処理することで、食品含有成分のプロファイルを作成することができます。このプロファイルを用いて食品の原材料や製法を判別することが可能になります。たとえば、食品添加物の有無やその量を分析することができます。

NMRは試料中に含まれる元素の安定同位体分析に用いることができます。同位体とは、地球上に存在する元素(水素や炭素など)で原子の重さが異なるもののことです。同位体の存在比を天然存在比といいます。たとえば、炭素の天然存在比は99%が12C、1%が13Cです。生物(動物・植物・微生物)の体内の安定同位体比は生物種や生育環境の影響を受けて、天然存在比からわずかにずれることが知られています。このずれを検出する手法が安定同位体分析です。食品に含まれる成分は生物が由来なので、食品を同位体分析することで、食品の産地や原材料を推定することができます。

これらの技術を用いて食品を分析することにより、原材料の不正表示や偽装を防止することができ、食品のブランド保護に役立てることができます。製品の原材料·製法·産地の科学的な鑑定は、ブランド価値を高めることに貢献します。現在は酒類の含有成分と安定同位体分析に取り組んでいます。

提供できるシーズまたは支援できる技術分野

  • 分光学(特にNMR)を用いた食品成分の分析技術
  • 安定同位体分析を用いた食品の鑑定技術

マッチングしたい分野・業種

酒造業、食品製造業

オグラ ケンジ
小椋 賢治
教授
研究分野
核磁気共鳴分光学、食品化学、たんぱく質科学
略歴
北海道大学大学院理学研究科修士課程修了
博士(理学)1999
1999〜北海道大学
2014〜石川県立大学
教員からの
メッセージ
食品の鑑定と定量分析のための技術開発をおこなっています。
https://www.ishikawa-pu.ac.jp/staff/staffname/ogura-kenji/