9.産業と技術革新の基盤を作ろう 12.つくる責任、つかう責任

分子性液体および非晶質材料における分子間相互作用の評価と構造秩序の解明

分子性液体のX線回折実験結果
(左) 分子性液体のX線回折実験結果、結晶と違いブラッグピークは観測されていない
コンピューターシミュレーションの経過
(右) コンピューターシミュレーションの経過。実験結果の再現度をもとに確からしい分子配置を求めていく

本研究では、分子性液体や非晶質材料における分子間相互作用を統計的・構造物理的手法により解析し、構造秩序性や動的性質との関係を明らかにすることを目的としています。特に、水素結合や双極子相互作用など、比較的弱いながらも構造形成に本質的な影響を及ぼす相互作用に着目し、分子動力学シミュレーションや分子配置の解析を通じて、構造秩序の定量化を試みています。

研究業績

  • “Characterization of the structure of amorphous disodium etidronate” H. Shimakura, T.Hashizuka, K. Ohara, J. Mol. Liq., 395, 123938_(1-7), (2024)  https://doi.org/10.1016/j.molliq.2023.123938
  • “Intermolecular Correlations in Liquid Racemic Lactic Acid: A Comparison with Liquid L-Lactic Acid”  K. Ito, H. Shimakura, S. Tahara, K. Ohara, A. Koura, K. Shimamura, F. Shimojo, J. Phys. Soc. Jpn., 94, 044604 (2025)  https://doi.org/10.7566/JPSJ.94.044604
  • “Determination of the structure of liquids containing free radical molecules: Inter-molecular correlations in liquid chlorine dioxide”   H. Shimakura, N. Ogata, Y. Kawakita, K. Ohara, S. Takeda, Mol. Phys., 111, 1015 (2013)  https://doi.org/10.1080/00268976.2012.762128

提供できるシーズまたは支援できる技術分野

  • 非晶質系や液体状態における秩序性の定量的な記述を可能とする解析手法の提案
  • 分子シミュレーションと実験との比較に基づく構造モデルの妥当性評価

産学・地域貢献に関する経験・実例および企業業種

  アモルファスを原薬とした医薬品の構造解析

マッチングしたい分野・業種

  • 分子レベルの構造設計や物性予測を必要とする材料メーカー
  • 溶液系や非晶質系の構造・機能解析に課題をもつ食品・化粧品・医薬品企業
シマクラ ヒロノリ
島倉 宏典
准教授
研究分野
物理化学、材料科学、構造解析
略歴
九州大学大学院理学府物理学専攻博士課程、博士(理学)
新潟薬科大学薬学部(2012.4~2025.3)
石川県立大学教養教育センター(2025.4~)
教員からの
メッセージ
一見ランダムに見える液体や非晶質にも「規則性」があります。分子がどう並び、どう動き、どんな相互作用をしているのか、それを明らかにして材料や製品のヒントを探します。