1.貧困をなくそう 2.飢餓をゼロに 9.産業と技術革新の基盤を作ろう

ゲノム解析と生殖工学技術を融合した新たな動物育種法の開発

試験管の中で産生されたマウス卵
全身で蛍光を発するマウスに対してゲノム編集することで、卵のみで蛍光を消失させた
(Sasaki et al., 2021 J Reprod Devを一部改変して引用)

家畜をはじめとした動物の育種改良は古くは野生動物の家畜化から、現在は統計育種や分子遺伝学に基づいたゲノム育種など、さまざまな手法により行われてきました。今もなお世界の人口は増加を続けており、私たち人類の食糧を支えるという観点からも動物育種は重要な学問分野だといえます。しかし、動物を育種して優良個体の遺伝的形質を広く伝搬させるには非常に長い時間が必要になるため、これからの動物育種には既存のものとは異なる新しい技術の開発も待ち望まれています。 当研究室では、動物がもつ一塩基多型からエピジェネティクスに至るまでのゲノムの広範な解析と試験管内で哺乳動物の卵を産生する技術などの生殖工学技術を融合し、新しい動物育種のかたちを模索しています。その過程ではゲノム編集技術による遺伝子機能の解析や、次世代シークエンス解析によるゲノム・エピゲノムの理解が不可欠であるため、新たな遺伝子解析法の開発も行っています。これらの先端技術の利用により、優れた遺伝形質を受け継ぐ動物を安定的かつ効率的に生産できる技術の開発を目指しています。

研究業績

  • Oocyte-specific gene knockdown by intronic artificial microRNAs driven by Zp3 transcription in mice. Sasaki K, Takaoka S, Obata Y. J Reprod Dev, 2021, 67(3):229−234.
  • Ectopic expression of DNA methyltransferases DNMT3A2 and DNMT3L leads to aberrant hypermethylation and postnatal lethality in mice. Sasaki K, Hara S, Yamakami R, Sato Y, Hasegawa S, Kono T, Morohaku K, Obata Y. Mol Reprod Dev, 2019, 86(6): 614−623.
  • Complete in vitro generation of fertile oocytes from mouse primordial germ cells.  Morohaku K, Tanimoto R, Sasaki K, Kawahara-Miki R, Kono T, Hayashi K, Hirao Y, Obata Y. Proc Natl Acad Sci U S A, 2016, 113(32):9021−9026.

提供できるシーズまたは支援できる技術分野

  • 哺乳動物の生殖工学技術
  • ゲノム編集マウスの作出
  • エピゲノム解析
  • 分子遺伝学および分子生物学に基づいた動物育種

社会的成果または実用化された内容、商品、特許など

  • ウイルス抵抗性を示すブタ・ニワトリの抗病性育種
  • マウス卵を試験管内で産生する技術(in vitro oogenesis)
  • 新規の卵特異的遺伝子ノックダウンマウスモデルの開発

マッチングしたい分野・業種

  畜産業、酪農業、生殖医療分野、動物の遺伝資源の保護

ササキ ケイスケ
佐々木 恵亮
講師
研究分野
動物育種学、分子遺伝学、生殖生物学
略歴
北海道大学大学院農学院博士後期課程修了
東京農業大学博士研究員
日本学術振興会特別研究員PD
群馬大学大学院医学系研究科助教を経て現職
教員からの
メッセージ
遺伝子や生殖細胞を切り口に、効率的に優良個体を生み出す事のできる新しい動物育種法の開発を目指しています。