植物が周囲の環境変化、特に気体湿度や乾燥ストレスをどのように感知し、体内のイオンバランスや概日時計を介して適応しているのかを分子レベルで解明する植物生理学・生物工学の研究を行っています。
主要なテーマの一つが、これまで謎の多かった植物の「気体湿度感知システム」の解明です。モデル植物であるシロイヌナズナを用い、周囲の湿度を察知する植物独自のセンサー機構や、その下流ではたらく応答ネットワークの特定を進めています。さらに、環境変化に直面した植物が生き残るために行う細胞内のイオン制御にも着目しています。気孔の開閉や細胞の体積調節に深く関わる「カリウム輸送体やイオンチャネル」などの膜輸送体をターゲットにし、環境ストレス時に細胞種特異的にどのようにイオンの移動が調節されるのか、その生理学的な基盤を紐解いています。
また、こうした植物の環境適応は、1日の明暗周期を予測する「概日時計(生物時計)」によって時間的にも厳密に制御されています。英国での研究経験を活かし、時計遺伝子がどのように湿度応答やイオン輸送システムの働きを24時間周期のなかでチューニングしているのかという、時間軸を取り入れた高度なシグナル統合メカニズムの解明に挑んでいます。
これらの研究を支える強力な武器として、細胞内におけるアブシジン酸などの植物ホルモンの微量な動態変化やイオンチャネルの相互作用を生きた組織内でリアルタイムかつ定量的に可視化する系を構築しています。最先端の生物工学的手法を用いたこれらのアプローチは、将来の気候変動や深刻な低湿度環境下でも効率よく水を使い、力強く生き抜くことができる「次世代の環境ストレス耐性作物」の創出につながる基盤技術として期待しています。
研究業績
- Yamanashi, T., Muraoka, Y., Furuta, T., Kume, T., Sekido, N., Saito, S., Terashima, S., Yokoyama, T., Tanaka, Y., Miyamoto, A., Sato, K., Ito, T., Nakazawa, H., Umetsu, M., Tanudjaja, E., Tsujii, M., Dreyer, I., Schroeder, J. I., Ishimaru, Y., and Uozumi N. Structure Reveals Regulation Mechanism of Plant Outward-Rectifying K+ channel GORK by Structural Rearrangements in CNBD-Ankyrin-bridge. PNAS, 122 (30) e2500070122, 2025
DOI: https://doi.org/10.1073/pnas.2500070122 - Yamanashi, T., Takeshi, S., Sasaki, S., Takashima, K., Kaneko, T., Ishimaru, Y., and Uozumi, N. Utilizing plasma-generated N2O5 gas from atmospheric air as a novel gaseous nitrogen source for plants. Plant Molecular Biology., 114, 35, 2024
DOI: https://doi.org/10.1007/s11103-024-01438-9 - Yamanashi, T., Uchiyama, T., Saito, S., Higashi, T., Ikeda, H. Kikunaga, H., Yamagami, M., Ishimaru, Y. and Uozumi, N. Potassium transporter KUP9 participates in K+ distribution in roots and leaves under low K+ stress. Stress Biology, 2;25, 2022
DOI: https://doi.org/10.1007/s44154-022-00074-x
提供できるシーズまたは支援できる技術分野
細胞種別植物ホルモン解析、植物の湿度応答解析、気孔応答解析
2023年4月 - 2026年3月 独立行政法人日本学術振興会、 DC1
2017年4月 - 2026年3月東北大学
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