2.飢餓をゼロに

食の外部化の進行に対応した付加価値向上型野菜供給システムのあり方

単身・共稼ぎ・高齢者といった簡便化志向が強い世帯の増加等を背景として、食の外部化が進行しています。食の外部化は調理の外部化とも呼ばれ、外食や中食などの家庭外で作られた加工品や調理品の消費が増加することを意味しており、カット野菜、冷凍野菜等の即食性・時短食材の利用も含まれます。食の外部化の進行は、野菜の加工・業務用需要の増加と表裏の関係にあります(図)。加工・業務用需要は輸入品との結びつきが強く、2020年度の輸入割合は、家計消費用の3%に対して加工・業務用は32%となっています。

こうした野菜の用途別需要の推計とその特徴等の把握を行うとともに、加工・業務用需要への国内対応の強化に向けた生産・供給の仕組みについて、原料供給面と製品供給面の付加価値向上型供給システムのあり方を中心に研究しています。原料供給面では、加工・業務用実需者から求められる「定時・定量・定質・定価」という品質、規格、価格、数量等の安定供給に対応するための方策、製品供給面では、カット・冷凍野菜等の製造工程での殺菌・ブランチング方法等の改善による品質改善等について研究しています。

主要野菜(ばれいしょを除く13品目)の加工・業務用需要割合の推移
冷凍野菜原料用の大型規格ほうれんそう(左)

研究業績

  • 小林茂典.2022.加工・業務用野菜の特徴と産地形成.木立真直・坂爪浩史編「食料・農産物の市場と流通」筑波書房.33-51
  • 小林茂典.2017.物流機能の一層の活用による、効率的かつ安定的な流通体制の構築. 細川允史編「新制度卸売市場のあり方と展望」筑波書房.51-56
  • 小林茂典.2017.食の六次産業化.生駒俊明編「食の研究―これからの重要課題―」丸善プラネット.133-165

提供できるシーズまたは支援できる技術分野

  • 訴求力のある付加価値(顧客価値)を含む、食と農を効果的に結びつける仕組みづくりに関する分析、助言、政策提言
  • 6次産業化、地域ブランド化等の推進方策に関する分析、助言、政策提言

社会的成果または実用化された内容、商品、特許など

野菜の加工・業務用需要の動向に関する推計値は、国の政策評価における指標の一つとして活用されています。

産学・地域貢献に関する経験・実例および連携した企業業種

  • 過熱水蒸気加熱加工による農産物の高付加価値化に関する研究(2021年~)
  • 野菜需給協議会 座長代理(農畜産業振興機構)(2018年~)
  • 金沢市中央卸売市場取引委員会 委員長(金沢市)(2020年~)
  • 金沢市中央卸売市場取引業務運営委員会 委員長(金沢市)(2020年~)

マッチングしたい分野・業種

加工・業務用野菜や6次産業化の取組の推進に係る農業生産者、企業、自治体等

コバヤシ シゲノリ
小林 茂典
教授
研究分野
農業市場学、食品流通論、マーケティング論
略歴
東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程、博士(農学)
農林水産省農林水産政策研究所
教員からの
メッセージ
食と農を効果的に結びつける仕組みづくりについて、関係者と連携し実践的な研究に取り組みます。
https://www.ishikawa-pu.ac.jp/staff/staffname/kobayashi-shigenori/