3.すべての人に健康と福祉を 9.産業と技術革新の基盤を作ろう

食品に含まれる葉酸化合物の精密分析

葉酸化合物は水溶性B群ビタミンであり、緑黄色野菜に多く含まれています。葉酸の摂取不足は、巨赤芽球性貧血や胎児の神経管閉鎖障害を引き起こします。また、葉酸の適切な摂取は、心血管疾患のリスク因子とされる血液中のホモシステイン量を減少させることも知られています。そのため、少子高齢社会である我が国における葉酸の適切な摂取は重要な課題の一つです。 

食品に含まれる葉酸化合物には多くの種類が存在します。天然由来の食品に含まれる葉酸化合物の吸収・生体利用率は約50%と低いですが、葉酸サプリメントなどに含まれる合成葉酸の吸収・生体利用率は約85 %と高いことが分かっています。そのため、妊娠を計画する人や妊婦さんには葉酸サプリメントなどから合成葉酸を摂取することが推奨されています。また、水溶性ビタミンにおいては、その過剰症は起こりにくいとされていますが、近年、合成葉酸の過剰症の症例が報告されてきています。 

そこで当研究室では、天然由来の食品に含まれる葉酸の吸収・生体利用率を向上させる調理・加工方法を検討しています。また、食品に含まれる機能性成分の単離・同定やビタミンB12強化ミニトマトの開発などの研究もこれまでに遂行してきました。 

HPLCを用いた成分分析

研究業績

  • Characterization of Vitamin B12 Compounds in Commercially Available Livestock Livers Used as Foods.KosekiK.NamuraM.BitoT.UmebayashiY.WatanabeF.ACS FoodScience& Technology2(8) 1364-13702022
  • High-dose folic acid supplementation results in significant accumulation of unmetabolized homocysteine, leading to severe oxidative stress in Caenorhabditis elegans. Koseki K. Maekawa Y. Bito T. Yabuta Y. Watanabe F. Redox biology 37 101724-101724 2020 
  • Determination of Vitamin B12and Folate Compounds in Commercially Available Edible Seaweed Products.KosekiK.YoshimuraR.IdoK.KatsuuraK.BitoT.WatanabeF.Frontiers in Bioscience-Elite15(2) 10-102023

提供できるシーズまたは支援できる技術分野

  • 食品に含まれる葉酸化合物およびビタミンB12化合物の分析 
  • HPLCやLC-MSMSを利用した栄養素の分析 
  • 食品に含まれる機能性成分の探索 など 

マッチングしたい分野・業種 

葉酸やビタミンB12の詳細な分析を行いたい企業、野菜などに葉酸やビタミンB12を強化したい企業、食品に含まれる機能性成分を単離・同定したい企業 等 

コセキ キョウヘイ
小関 喬平
助教
研究分野
食品化学
略歴
鳥取大学大学院 連合農学研究科博士後期課程卒
博士(農学)2023年3月
2013年4月~ 石川県立大学・助教(現在に至る)
教員からの
メッセージ
食品に含まれる栄養素の分析や機能性成分の探索などについて、研究を推進しています。
https://www.ishikawa-pu.ac.jp/staff/staffname/kyohei-koseki/